後半戦のペナントレース。セ・リーグでは独走態勢の阪神を追う巨人に策はあるのか。パ・リーグの主役に躍進した日ハムの強さの秘密、球界で進む“投高打低”の意外な理由、メジャーに挑む三冠王の現状など、球界の裏話をすっぱ抜き!
■藤川阪神「独走でペナントは断念」 阿部巨人「令和版メークドラマ」
最後まで何が起こるか分からないのが勝負の世界とはいえ、こと“セ界”に限っては、大方の識者も「すでに雌雄は決した」との声が聞こえてくる。
リーグ連覇を至上命令としてきた読売グループ内からも、「CSに照準を切り替え、日本一を」との声が上がり始めているという。
「岡本和真(29)の長期離脱に、戸郷翔征(22)の不調まで重なった今季は、いわば“飛車角落ち”で戦っているようなもの。最大13ゲーム差をひっくり返した2008年の“メークレジェンド”とは状況こそ似ていますが、その戦力は比ぶべくもありません。
投打に充実の藤川阪神が、昨季の広島よろしく大失速する、なんていうのも現実的ではないですしね」(スポーツ紙デスク)
08年の主力陣には、現監督の阿部慎之助はもとより、小笠原道大やラミレスといった名球会クラスのタレントがズラリ。“オガラミ”という不動の存在がいた当時と、主軸すら“取っ替え引っ替え”が続く今とでは、まさに雲泥の差と言える。
ヘッドコーチとして“レジェンド”を経験した伊原春樹氏も、「ここからの大逆転はさすがに……」と苦笑交じりに、こう続ける。
「まあ、あの頃は戦力的にも阪神とは遜色がなかったし、北京五輪のようなイレギュラーもあったしね。
ただ、新庄剛志が率いる日本ハムの戦いぶりを見ても分かるように“取っ替え引っ替え”にも長所はある。苦肉の策でも、若手の積極起用が戦力の底上げにつながっているのは確かだね」
実際、今季ブレイクの泉口友汰(26)は打撃ランクでも依然、首位打者を狙える好位置をキープ。存在感が増す増田陸(25)に至っては、昨季の1軍出場はわずか4試合。岡本の離脱がなければ、お鉢すら回って来なかった可能性も高いだろう。
「時期こそまだ不透明だが、そうやって若手に経験を積ませているところに、頼みの岡本が戻ってくるわけだから、チームにとっては間違いなく大きなプラス。
ことCSに限って言うなら、いわゆる下剋上の可能性も十分ある。あとは、どれだけ開き直れるか、じゃないかな」(スポーツ紙デスク)
とはいえ、“盟主”であることを宿命づけられてきた巨人は、元来“挑戦者マインド”に乏しいチーム。リーグVを果たしながらのCS敗退は昨季を含めて過去3度も、その逆は一度もないのが実情でもある。
「短期決戦は流れや勢いがモノを言う。その意味でもファーストステージ突破はむろんのこと、ファイナルの初戦をいかに取るか。
優勝チームには1勝のアドバンテージがあることを考えても、そこが、すべてな気はするね」(スポーツ紙デスク)
ちなみに、件のアドバンテージは、“メークレジェンド”の前年、セのCS初年度だった07年に、優勝の巨人が2位中日に敗退したことが導入のきっかけ。
そこに当時、権勢を誇った“球界のドン”渡邉恒雄オーナーのゴリ押しがあったことは言うまでもない。
「あの年は、右投手が来るという予想に反して、初戦の先発に左の小笠原孝が出てきてね。それに虚を突かれて、チーム全体がまんまと調子を狂わされた。
DeNAに競り負けた去年にしても、初戦の負けから、一気に王手までかけられたわけだしね」(スポーツ紙デスク)
なお、このまま阪神が独走Vなら、ファーストステージは、そのDeNAと再戦となることが濃厚。
DeNA相手には、ここまで9勝3敗1分と大きく勝ち越す巨人だけに、昨季の二の舞だけは是が非でも避けたいところである。
「DeNAは、昨季もシーズンでは16勝8敗1分とカモにしていた相手。それで、あの結果だったわけですから、そこは完全に別物と考えて臨むべきでしょう。
それよりも肝はファイナル。四面楚歌の甲子園で4勝するなんてのは、ある意味、日本一になるよりも難易度は高いですからね」(スポーツ紙デスク)
敵地・甲子園での直接対決は現時点で3勝6敗。8月29日からのの3連戦をモノにできれば、きたるCSにも弾みはつく――。