阪神が優勝へ向かって、独走状態だ。
「前半戦終了時点で、セ・リーグの貯金を独り占め、まさに敵なし状態です」(在阪スポーツ紙デスク)
金本知憲監督時代の阪神で活躍した野球解説者の今成亮太氏が、こう語る。
「あの当時、ベテランの鳥谷敬選手らを外し、梅野隆太郎(34)や大山悠輔(30)選手らの若手が大胆に起用されましたが、時を経て彼らが中心選手となり、そこにサトテル(佐藤輝明・26)や森下翔太(24)が加わった。この相乗効果で、2023年の日本一が達成されたのだと思います」
今季、佐藤や森下は押しも押されもせぬ大看板選手と成長した。
そんな“猛虎”の礎となったのが、12球団随一といわれるスカウトの力だ。
13年から昨季まで阪神でスカウトを務め、現在は香川オリーブガイナーズ監督の熊野輝光氏は「15年オフから阪神のドラフトが一変した」と言う。
それまで阪神のドラフトは、全体会議で決めた指名順が外部へ漏れ、他球団に欲しい選手を先に指名されることもあったという。
「ところが、ドラフト当日に監督や社長、スカウト部長らの幹部による極秘会議で指名順を決めるまで、僕ら担当スカウトも分からなくなったんです」(熊野氏)
その象徴が16年に3位指名された才木浩人(26)。
「僕が担当した選手だったんですが、腰に不安を抱えていたこともあり、4位指名かなと。しかし、結果は3位。後で分かったことですが、他球団が3位で指名予定だったんです」(前同)
同年に1位指名された大山も驚きだった。
「会場がどよめいたほどの意外さでした。ただ、球団は、どうしても“打てる内野手”が欲しかった。その頃から球団のドラフト戦略がブレなくなりました」(同)