横綱、親方として、相撲を通じて日本文化や神事に長らく関わってきた貴乃花。自身が体験したことや、本を読んで学んだこと、そして、心に残った“ニッポンの魅力”を、歴史の話も交えながら伝えていく。
私は、幅広い分野について学びを深めたいと常に思っていますが、その原点は、10代の頃に出会った方々の存在にあります。
後援会でお会いした、伊東園の本庄正則さんやイオンの岡田元也さんをはじめ、日本を代表する企業の方々が、10代の私に真剣にお話をしてくれたんです。
日本の将来を考えて、ある意味、日本を経営されていた方々ですから、そのお話からはたくさんの学びがありましたし、ときには、学校では学べない政治や経済の裏側も伺うことができて、それが私にとっての、なによりの授業でした。
中でも、学習院の田島義博先生は、私の恩師です。天皇陛下の教師をしていたお方で、小学4年生だった私を、まるで後見人のように面倒を見てくれました。2006年にご逝去されましたが、今も毎朝、先生の写真に手を合わせています。

そうした10代から続く学びの中で、私の関心は“日本人のルーツ”へと自然に向かっていきました。
国と民族の真の歴史を知り、それを後世に伝えていくことこそが、これからの時代を生きるうえで欠かせないことだと思ったんです。