大阪万博の“デザイナーズトイレ”で大混乱「目の前で破壊」トラブルも…来場者が憤る“デザイン性重視”設計の問題点

ピンズバNEWS編集部 ピンズバNEWS編集部
2025.04.15 07:30

■「使いづらいトイレ」が誕生した“これだけの理由”

 森山氏はまず、「トイレの絶対数が少ないうえ、どこにあるのかわからない」と、会場内での導線の不便さを指摘する。万博会場全体の広さは約155ヘクタールで、東京ドーム約33個分。ちなみに東京ドームのトイレ個室は男女・共用合わせて約350個だ。

「万博では一日の来場者数が10万人~15万人ほど見込みと東京ドームの2~3倍の人数想定で、広さが33倍もあるのにトイレは40か所しかない。会場内の案内も少なく、行こうと思った時にトイレの場所がわかりづらく、あっても遠い。やっと着いたと思ったら空室がなく、人がたくさん待っている。

 しかもどこで列を作ったらいいかわからないので、結局“早いもの勝ち”状態です。人が自然に流れず、効率の悪いストレスフルな状態が生まれている。大勢の人が集まる場所に設置するトイレとして、考慮されるべき事項が全く検討されていない」(森山氏=以下同)

 前述した、空室がわかりにくすぎるデザイナーズトイレ(「トイレ1」)についても、森山氏は「公共トイレの命題を忘れ、“とんち”を優先してしまっている」と呆れ顔だ。

「トイレのマークは、すでに世界的・社会的に“こういうものだよね”という共通認識が強くあるものです。ただ万博ということでデザイン性を意識しすぎた結果、“常識を外せばいい”とばかりにクールさやコンセプトばかりが先に立ち、トイレとしての必要な情報表現や機能性がすっかり後回し。用を足すためのトイレではなく、“ネタ見せ”のトイレになってしまっています」

 また会場では、事前に《仮設トイレみたい》だと話題になった「二億円トイレ(「トイレ5」)」にも行ったという森山氏。実際に体験し、「不安が煽られた」とその感想を語る。

「通常、トイレは入口からすぐのところに洗面台や鏡があり、その奥に個室が並んでいる設計が王道ですよね。つまり、トイレの入口から個室までに中間的な空間がある。でも二億円トイレはまさしく仮設トイレのように、入口から個室までの空間がない。通路に面した扉を開けたら即便器です。往来とは扉一枚を隔てているだけという状態はすごく不安。用を足している間も外の声は聞こえますし、誰かが扉を開けてしまわないかとヒヤヒヤします。

 また男性の小便器だけの個室があるのもややこしい。大をしたいのに、やっとトイレが空いたと思ったら小便器だった……ということが起こり得るなと思いました」

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