■一部のアナに業務が集中する局内事情
まず、大前提として局アナは会社員だ。フジテレビの場合、1985年入社の三宅正治アナ(62)や軽部真一アナ(62)から2024年入社の上垣皓太朗アナ(23)、高崎春アナ(22)らまで、24年時点で70名弱ものアナウンサーが在籍している(公式HPより)。激務で社員が体調を崩さないよう、業務を割り振ることもできそうに思えるが……。
「アナウンス部にはアナウンサーたちの業務を管理する担当者がいて、建前的にはそれぞれの業務量を見て振り分けることになっている。でも、実際の番組に誰を出すかは、制作側の権限が強いという構造があります」(前出の元テレビ朝日プロデューサー・鎮目氏=以下同)
番組制作側は当然視聴率が欲しいので、人気があるアナに来てもらいたい。加えて、「使いやすい」アナに仕事が集中するのだという。
「報道局としては、制作の意図を汲んで、番組づくりに積極的に関わってくれるようなアナウンサーがいい。そのため、番組プロデューサーがアナウンス部に“この人がいい”という候補を出すのが通例です。アナウンス部側も“視聴率”と言われるとどうしようもなく、よほど物理的に無理な場合を除いて断りづらいという事情があります」
人気があってスタッフ受けが良いという人選の結果、一部のアナウンサーに業務が集中するというわけだ。さらに「朝の番組」は、その不規則な勤務体系から体調を崩しやすくなるが、鎮目氏は「朝昼の番組に限って、若い女性アナが起用される」と指摘する。
「爽やかな番組イメージをつくりたいという制作意図から、フレッシュな若手が好まれます。特に昔は会社員といえば男性が多く、出勤前のサラリーマンを応援するようなイメージで女性が重宝されてきたという体質の古さがある。アナウンス部もアナウンス部で、つらい朝の番組こそ“修行”としてスキルを上げられるという理屈があります」