韓国のどじょう料理──。彼らは肉食だから、日本人のように栄養をつけるためという理由ではない気がする。
訊くとこんな答えが返ってきた。
「どじょうは夏の食べ物。暑い日がつづくと、疲れるでしょ。夏バテです。そんなとき、お昼にどじょうを食べない? って話が出てくるんです」
話してくれたのは20歳代の女性だった。韓国の人たちは、どじょうを、日本の土用の丑の日のウナギのような感覚でとらえていた。いくら肉食でも、夏の暑さはこたえるということらしい。
最近のソウルの夏は、日本同様に暑い。35度に近づく日もある。そんなときに、どじょう料理ということなのだ。
その日も暑かった。湿度も高い。どじょうは専門店があるという。さっそく出かけてみることにした。
昼どきの店内は混みあっていた。中年組もいるが、若い人も多い。女性客は半分ぐらいだろうか。僕もどじょうの鍋料理を注文してみた。