目黒蓮『海のはじまり』夏と弥生・有村架純にかけられた“海の呪い”を解く救世主は津野・池松壮亮 最終回で夏と弥生をつなぐ――重要シーンで見せた伏線

ドラマライター・ヤマカワ ドラマライター・ヤマカワ
2024.09.09 08:00

■夏・目黒蓮と弥生・有村架純は救われるのか

 視聴者に指摘されるまでもなく、子育て経験のない夏(目黒)のワンオペ育児は、いずれ破綻するだろう。“海のために”という思いにこだわりすぎて、育児の現実が見えていないのに、父になろうと暴走している夏。このままでは不幸な結末しか予想できない。はたして救済はあるのだろうか?

 もしあるとすれば、最後で弥生(有村)と夏が復縁し、2人で海を育てるという流れだろう。そもそも物語のテーマに「いつどのように“母”になるのか」とある。これは弥生のことを言っていると思われるため、このまま弥生がフェイドアウトするとは考えにくい。

 しかし、弥生が「やっぱり私は、月岡くんと“2人”でいたかった」と本音を明かしているように、海がいるからこそ弥生は別れを決めたのであり、そうすんなりと元に戻れるとは思えないだろう。弥生の、そして夏の考えを変えるには、誰かのアクションが必要になる。

 その人物は津野(池松壮亮/34)だ。今のところ、距離を保ちつつも、弥生の気持ちを一番わかっている。さらに、水季(古川)の子育てを全面的にサポートしていた彼は、海のことを理解しながらも、水季が亡くなったことで“外野”となり、他者として客観的に判断できる。ベストな落とし所を見つけられる、唯一の存在だ。

 また、9話の水季が夏と弥生への手紙を書いた回想シーンで、水季が「もし(夏や弥生と)会うことがあったら、仲良くしてくださいね」と頼むと、津野は「やだ。なんか、やだ」と、困惑した様子で応じていた。これは今後、夏と弥生をバックアップする役に回るという伏線なのではないだろうか。

 第10話の予告では、夏が電話越しに転校することを切り出すと、海は「やだ」と即答。「ママいなくなって、いろんなこと変わったのに? まだ海が変えなきゃダメなの? なんで?」と言う海に、夏が何も言えなくなるという胸が痛くなるシーンが。現状では地獄のような展開だが、誰もが幸せになれる最後に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。

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