「韓国でオペをしてきたので抜糸をしてくれませんか?」“渡韓整形”ブームに形成外科医が感じる強烈違和感

西嶌暁生 西嶌暁生
2024.07.07 05:00

■韓国で“鼻のフルオペ”――患者「詳しく話さないとダメですか?」

 前述のような問い合わせだが、言いたいことはわかる。通常、手術をした場合、抜糸は1週間前後であることが多い。抜糸のためだけに、韓国に1週間以上滞在することは、お金も時間も勿体ないので、術後すぐに帰国してくるのだ。あるいは、そもそも、仲介会社が斡旋している医療ツアーなのだ。

 問い合わせがあれば、電話や公式LINEで問う。

私「どのようなオペをやってきたのですか?」
患者「鼻のフルのオペです」
私「鼻のフルのオペって、何ですか? もう少し詳しく教えてください」
患者「詳しく話さないとダメですか?」

 当院に来院した患者の中には、紹介状を持っていない人も多い。もちろん、紹介状を持たせる病院もあるが、患者がその重要性を認識せず、持参しないケースもある。

 私は、帰国した患者から希望があった時、抜糸そのものを断ったことはない。料金を説明し、了解を得て受診してもらう。当院では1部位5500円(税込)で行なっている。鼻周りなら5500円、軟骨採取をした耳の抜糸まで行なう場合は追加で5500円といった感じだ。この価格が高いか安いかは読者の判断にお任せする。

 ただ、外科医として問いたい。

 自分が手術した患者を最後まで責任をもってフォローすることが外科医ではないのか? 人に合法的にメスをいれることのできる外科医だからこそ、その責任は重い。どんなに簡単に見える手術でも、うまくいかないことはある。術後の合併症として、術後創部の感染、肥厚性瘢痕、ケロイド、再発、皮膚壊死、癒合不全、埋没糸膿瘍、傷跡など、言い出したらキリがない。

 かくいう私も、多くの合併症の経験があり、患者さんに申し訳ないと思いながら、できる限り誠実に、かつ正しいリカバーを行なってきたつもりだ。それでも患者さんにご納得頂けないときはある。私が患者の立場でも、同じ感情になるだろう。

 一方で、有名な病院や高名な先生の術後のトラブルを当院でフォローすることもある。という事は、当院で行なった患者のフォローを他のクリニックや先生が診てくださっているというケースもあるだろう。

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