中国・韓国・台湾の「結婚しない理由」 東アジア各国で「メリットなし」と独身を選ぶ人が日本よりも多いワケ

ピンズバNEWS編集部 ピンズバNEWS編集部
2025.09.04 20:00

■中国では花嫁に支払い「礼金」は年収の4倍!

 次に中国ですが、出生率約1.09、女性の初婚年齢28~29歳と、日本より若干早いものの結婚自体が経済的に非常に重い負担になっています。中国では日本や他の国以上に、家や車を所有しなければ結婚は成立しないのが実情。

 また、新卒の平均年収が150万円程度であるのに対し、男性は花嫁の親に支払う礼金が少なくとも600万円ほど必要で、地域によっては2000万円を超えることも。都市部では女性の高学歴化と経済的自立が進み、結婚の経済的必要性は低下。子育て費用の高さ、教育競争の激しさ、男女比の偏りなども重なり、結婚に対して心理的な覚悟を持てない若者が増えているようです。結婚してもすぐに離婚するケースも増えています。

 台湾に目を向けると、出生率約0.88、女性の初婚年齢31歳と晩婚化が最も顕著です。低収入や住宅価格の高騰、職場環境の制約、生活の質の維持などが結婚の大きなハードルであり、女性の多くは結婚しても働き続けるのが前提。結婚したほうがローンを組みやすいというメリットがある一方で、後々お金が必要になった際には、戦略的に離婚して不動産を調整するケースも見られるといいます。

「総じて韓国、中国、台湾の若者は日本以上に結婚を“面倒な手続き”と感じており、二の足を踏む人が増えている印象です。もっとも制度・慣習自体は昔からあったわけで、そこから今結婚する人が減っているのは根本の原因が別にあるということでしょう。デメリットがないのであれば自由や自己実現を優先し、今を楽しむための“現状維持”を選択したい、その結果が出生率の低さに表れていますね」(全国紙社会部記者)

 韓国や中国、台湾の若者と同じように、日本の若者も結婚や出産を自由や自己実現とのバランスで考える時代になっています。こうした東アジア全体の少子化傾向は、国境を越えて社会全体で支え合いながら向き合うべき課題と言えそうです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼(とだ・あおい)
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。

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