多部未華子『対岸の家事』不調の原因は“火曜日のドラマ渋滞”だけではない “見る人を選ぶ”主婦層以外に刺さりにくい超リアル路線

ドラマライター・ヤマカワ ドラマライター・ヤマカワ
2025.04.15 08:48

■しんどい展開が続きそうな『対岸の家事』

 また、同時間帯には『しあわせは食べて寝て待て』(NHK総合)が放送され、膠原病にかかって生活が一変した主人公の、穏やかな日常と生きづらさを描き、《リアルで切実》などと話題に。さらに、ノリのいいコメディ路線が好評だった、9時放送『人事の人見』(フジテレビ系)の初回が15分拡大で、本作の序盤と放送時間かぶり。リアタイ視聴者がこの2作に流れたとも考えられる。

 そんな状況の中、主要キャラの詩穂(多部)、礼子(江口)、中谷(ディーン)のつながりができてきたので、今後は3人が協力して奮闘する明るい展開を期待したいのだが、そうはいかなそうだーー。

 公式サイトの相関図には、詩穂の家族とは離れた場所に、父・岡田純也(緒形直人/57)がいて、「詩穂が中学生の時に妻(紺野まひる/47)を亡くして以来、詩穂が高校を卒業するまで父子2人きりで暮らしていたが、現在は絶縁状態」と、ずいぶんと訳アリな親子関係らしい。

 さらに、夫・虎朗(一ノ瀬ワタル/39)には浮気のフラグがたっていたし、まだ登場していないが、癒やしキャラかと思われた小児科医の妻・蔦村晶子(田辺桃子/25)は、姑や患者たちからの“子作りプレッシャー”に悩むという。この先もシリアスな展開が用意されていそうだが、これを視聴者はどう受け止めるかが今後のカギになるだろう。

 もちろん、火曜ドラマである『対岸の家事』が、重いだけでは終わらないだろう。本作は「目の前の誰かの人生にもエールを送りたくなる応援ドラマ」とうたっているし、主演の多部も「明日からも自分のペースで頑張ろうと少しでも前向きに思ってもらえるドラマ」とコメントしている。今後の主要キャラ3人の奮闘に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。

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