“数字を持っていない”芳根京子を大ブレイクさせた『まどか26歳』 リアルな医療現場ドラマとの幸福なマッチング【2025前半ドラマ一大事】

ドラマライター・ヤマカワ ドラマライター・ヤマカワ
2025.08.23 04:00

■誠実なドラマにまじめな芳根京子がフィット

 また、竹内氏は、本作のポスタービジュアルの「逃げないことだけ、決めてみた」というフレーズについて、まどかが点滴の針を血管に通すことができなくなる、“点滴スランプ”を克服していったように、医療現場は常に「逃げないこと」の連続だとコメント。実際に研修医を指導していくうえでも、大切なテーマだと語っている。

 この「逃げないこと」というテーマに、芳根がうまくハマっていた。たとえ不器用でも、まどかが逃げないで患者が抱える問題に挑む姿は、成長物語を描くドラマでは欠かせない要素で、視聴者はつい応援したくなってしまうもの。芳根はまじめで一本気な役を演じると抜群によく、本作では「逃げない」姿を違和感なく演じていた。今までにないほどのハマり役だったことが、本作の成功、芳根のブレイクを呼んだのだろう。

 X上でも、《芳根ちゃんの絶妙なコミカルさが重くなりそうな作品を和らげてるし、まどかの成長を応援したくなる。やっぱりこういう役の芳根ちゃんが好きだ!》《シリアスでもコメディタッチでも浮かない芳根京子ちゃんがとにかく良い》などと、その点を称賛する声は多かった。

 芳根は『まどか26歳』で、数字を持っていない俳優のイメージを完全に払拭した。2期続いての主演連ドラ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)も、昭和初期の甘酸っぱい“むずキュン”が人気で、さらなるヒットとなり、彼女の今後の出演ドラマにも期待が大きくふくらむ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。

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