横浜流星『べらぼう』裏主役の生田斗真がいよいよ動き出す “気持ち悪さ倍増し”の一橋治斉は蔦重の合わせ鏡か

ドラマライター・ヤマカワ ドラマライター・ヤマカワ
2025.06.01 07:00

■江戸城内の主役は生田斗真の一橋治済

 治済は悪者らしく振る舞わず、ひょうひょうとしている姿が不気味だ。一見、悪い奴には見えないのに、その言動は見るものをゾッとさせるものばかり。生田が2022年放送の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で演じた源仲章は見ていてイライラしたが、治済には底しれない気持ち悪さを感じる。それだけ、生田の演技がレベルアップしているのだろう。

 これまで江戸城内は意次(渡辺謙)を中心に描かれてきたが、家治(眞島)の死後、重用されていた意次は失脚する。その後、老中に松平定信が就くも、11代将軍・家斉(豊千代)と実父・治済と対立して失脚。治済は権力をほしいままにしていく。退場者が続く中、生田・治済はしぶとく生き続けるのだ。視聴者は治済の“気持ち悪さ”に、まだまだ付き合うことになりそうだ。

 X上では生田演じる治済について、《権力を手中に納めるというよりも、ただおもしろがっているだけというか、暇つぶしであれこれ画策して、どう転んでもまた次を考えるのが楽しいっていう、ただそこのみで動いていそうなところなんだよなー。そういう意味では、蔦重と同じパッションかも知れない》という指摘が。

 たしかに、楽しそうに謀略を仕掛けていく治済の姿は、楽しそうに出版界の新たな波に向かっていく蔦重の姿に似ている。そうなると、今後は江戸市中の主役・蔦重に対して、治済は江戸幕府の裏主役になっていきそうだ。これまでにない治済像を、生田が見せてくれることに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。

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