■リアリティはないが「面白い」
賭けているのはジュース代程度だったが、
「コンプライアンスが厳しいこの時代に、勤務中の職場のど真ん中で堂々と、しかも大人数で賭博じみた行為は絶対にやりません。劇中では違法賭博ではない、というフォローはありましたが、この程度ならやってもいいと勧められているような気にもなりましたね」(前出の民放キー局関係者)
ドラマ『キャスター』の内容には視聴者からも、
《2転3転と仕掛けも用意されていて飽きる暇なんてなく、先が気になり非常に面白い》
《現実世界を混ぜ込む脚本面白い》
といった好意的な声も多数あるが、
《あまりにもテレビ番組の制作現場としてのリアリティが無さすぎる》
《このドラマの何が面白くないって、リアルに見せかけて、全くリアルじゃないところ。無理矢理感動的にもっていく感じが寒い》
《報道番組の総合演出って永野芽衣ぐらいの年齢でもできるものなの?》
《小娘(※永野演じる華)が持ってきた訳分からんVTR生放送で流すのもありえん》
など、特にリアリティ面に苦言を呈する声も多く寄せられている。
「報道がテーマの社会派ドラマということで、長澤まさみさん(37)主演の名作ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(フジテレビ系/22年10月期)と比べる声もあります。
ただ、視聴者からの声にもあるように、『キャスター』の時事ネタを盛り込みつつ二転三転するダイナミックな展開は面白いし、豪華なキャスト陣で、主演は画面に出てくるだけで説得力がある阿部さん。それで実際に視聴率も高い。なんだかんだ言ってもエンタメ作品として成立していますよね。
同ドラマは、リアリティどうこうの作品ではなく、とにかく見て面白いと感じられる作品を目指しているのではないでしょうか」(テレビ誌編集者)
『キャスター』のプロデューサー・伊與田英徳氏(57)は初回放送前の公式インタビューにて、阿部に同作の主人公像を《時代劇で奉行が裁くように、生放送で裁きを下すキャスター》と伝えたとコメント。
加えて、同作の作風を《報道を題材にすると勧善懲悪は難しいのですが、悪いことをした人は捌かれるべきだし、良いことは称賛されるべき》と、勧善懲悪を意識している、とコメントしている。この姿勢からも、勧善懲悪の分かりやすい、王道の「日曜劇場」らしいドラマを目指していることが伺える。
「さらに、『キャスター』は旬の話題や攻めた話題を絡めてきます。第2話は“オンラインカジノ”という社会問題が主軸でしたが、メインのバレーボール選手とトレーナーの関係性は大谷翔平選手(30)、彼の元通訳で大谷選手のカネを着服していた水原一平氏(40)を想起させる内容で、視聴者からも《絶妙に大谷翔平と一平ちゃんや》という声がありました。
27日放送の第3話も、明らかに2014年に勃発した小保方晴子さんとSTAP細胞の騒動が下敷きになっていそうだし、渦中の科学者役として、のんさん(能年玲奈/31)が11年ぶりに民放ドラマに出演することも注目されている。
多くのツッコミが寄せられている『キャスター』ですが、“面白い注目作”であることは間違いないでしょう。力業で最後まで突っ走っていきそうです」(同)
多少のツッコミどころを補って余りあるほどの強いエンタメ性を誇る『キャスター』と、それに説得力を持たせる阿部寛。春ドラマ最大の話題作となりそうだ。