小泉今日子『続・続・最後から二番目の恋』はただのシニア向けドラマではない ヒット作成功例を詰め込んだ“数字を狙いにいった”新・月9路線

ドラマライター・ヤマカワ ドラマライター・ヤマカワ
2025.04.14 07:00

■『最後から二番目の恋』が“最旬”なわけ

 内容も遺産相続や会社の買収などが展開されたが、大仕掛けなエピソードはさほどなく、いわゆる安心して見られるドラマ。しかし、全話平均視聴率が7.2%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、けっこう良い数字を取ったのだ。『相棒』や『科捜研の女』シリーズなど、シニア向けドラマはテレビ朝日のお家芸だが、フジテレビももこの路線に乗っかったカタチなのだろう。

 メインの2人も、中井貴一が『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)に、小泉今日子が『団地のふたり』(NHK BS)と、出演ドラマが絶好調。また、第1期から脚本を担当している岡田惠和氏の、ほころびを抱えながらも最後に希望を感じさせるドラマの世界観は、週の初めの月曜の緊張をほぐすのにうってつけ。前期や前々期以上に、いろいろな過去や事情を抱えた、アラカンの登場人物にもハマる人が多そうだ。

 若者ウケする要素がほとんどなく、本作は高齢化が進む今の日本を象徴するドラマに思えるが、実はこれがいま一番、手堅く数字のとれる、最旬のドラマなのかもしれない。その意味で、放送枠がフジテレビのドラマの看板ともいえる“月9”になったのは、ごく自然の成り行きだと思われる。

 これで『最後から二番目の恋』がヒットしたら、中居正広氏(52)の女性問題に端を発した騒動による視聴者離れに揺れているフジテレビは今後、手堅いシニアドラマばかりになるかもしれない。とはいえ、そんな裏事情はいったん忘れて、懐かしい顔ぶれが見られる第1話を楽しみたい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。

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